第二種金融商品取引業の登録を受けるには

第二種金融商品取引業は登録制であり、内閣総理大臣の登録を受けなければなりませんが、内閣総理大臣は登録事務を委任していますので、実際には財務局長の登録を受けることとなります。
この登録を受けるためには、法令で定められた要件に該当する会社又は個人でなければなりません。主なものは次のとおりとなっています。

1.財産規制

第二種金融商品取引業者については、最低資本金規制(法人)又は営業保証金規制(個人)を設けています。第二種金融商品取引業を行おうとする場合、その額は1000万円です。法人の場合、最低限必要な資本金が1000万円、個人の場合は1000万円の営業保証金を供託します。従って個人の場合には1000万円が動かせないお金となってしまうため、一般的には法人で登録を受けることになるでしょう。

2.人的要件

登録を受けるためには申請者が金融商品取引業を行うための人的構成を有しているか否かの審査が監督庁において行われます。登録申請書、添付書類及びヒアリングにより次の点を確認します。

  1. その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか。
  2. 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
  3. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
  4. 行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
  5. 営業部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。
  6. 行おうとする業務について、各種内部管理が可能な要員の確保が図られていること。
  7. 暴力団又は暴力団員との関係その他の事情として、以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は使用人のうちに、業務運営に不適切な資質を有する者があることにより、金融商品取引業の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。
    (イ)本人が暴力団員であること(過去に暴力団員であった場合を含む。)。
    (ロ)本人が暴力団と密接な関係を有すること。
    (ハ)金商法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。
    (ニ)禁錮以上の刑(相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪に問われた場合に留意すること。)。

3.登録拒否事由

金融商品取引業者が次のいずれかに該当するとき、又は登録申請書及び添付書類のうちに虚偽の記載があった場合はその登録は拒否されます。

  1. 登録等を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者
  2. 金融商品取引法その他の法律の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  3. 他に行う事業が公益に反すると認められる者
  4. 金融商品取引業を適格に遂行するに足りる人的構成を有しない者

※法人の場合、役員の中に1名でも下記の要件に該当する方がいらっしゃる場合は登録できませんのでご注意ください。

  1. 成年被後見人・被保佐人の登記がされている方
  2. 未成年者(営業に関して成年と同一の能力を有する方を除きます)
  3. 過去に登録・認可を取消され、その取消しの日から5年を経過しない方
  4. 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない方
  5. 申請の日前5年以内に投資顧問業、投資一任契約に係る業務において著しく不適当な行為をした方

4.主要株主規制

第二種金融商品取引業者には主要株主規制はありません。
主要株主規制とは、「金融商品取引業者の主要株主となった者は、対象議決権保有割合、保有割合、保有の目的その他内閣府令で定める事項を記載した対象議決権保有届出書を、延滞無く、内閣総理大臣(金融庁長官)に提出しなければならない」という規制です。

5.廃業規制

金融商品取引業者が廃業をする際には、その日から30日以内にその旨を内閣総理大臣(金融庁長官)に届け出なければなりません。
金融商品取引業者の廃業は、業者の自由な意思で決められるべきですが、金融商品取引業者の経営が悪化し、顧客に損害を及ぼす状態になったときに、行政監督から逃れる手段として廃業することは、投資者保護の観点から認められていません。

※当事務所でお手続きを代行する場合には、行う業務の内容により、人員が最低何名程度必要なのか、どのような配置が望ましいのかなど、効率的な組織体制の構築をお手伝いさせていただきます。